こんにちは。まさみ,じゅん,もえです。
1週間前に修士論文の発表を終えて,修士2年間でやるべきことがとりあえず全て終わりました。
今回の記事では,修士過程 2年間の振り返りと経験をもとに修士に進むべき人について私たちの意見を述べたいと思います。大学院修士課程に進学するかどうか迷っている学生の参考に少しでもなればと思います。
今回の記事では,事前に用意した質問に対して3人それぞれの回答を述べていくインタビューのような形式で進めていきます。
ただ私達,誰1人として理系っぽい実験をしない修士生なので実験がどうとかはあまり語れないのでそこだけご注意下さい。そこら辺のことはまた別の人達にお願いしたいと思います。笑
修士過程 2年間の振り返り
修士での苦労や進学してよかったこと,また修士のうちにやっとけばよかったなといった後悔についてお話ししようと思います。
事前情報として著者たちの研究内容と修士でやったことについてざっくりとまとめておきます。
まさみ
- 研究テーマ
- 水産資源学専攻
- 漁業資源を持続的に利用するための漁業管理方法をシミュレーションを用いて開発する研究
- 研究でやったこと
- 学術論文2本投稿(どちらも受理はされていませんが。。。)
- 学会発表3回
- トビタテ12期生
じゅん
- 研究テーマ
- ミクロ経済学,開発経済学
- カンボジア農業における女性労働の貢献を定量的に評価する研究
- 研究でやったこと
- 学術論文(現在執筆中)
- 学会発表2回
- カンボジア遠征(SEAFDECの研修参加、現地水産局訪問)
もえ
- 研究テーマ
- 地域連携経済学,農業経済学
- 北海道の農家に嫁いだ女性が農村部に参入する際に直面する課題とその適用過程に関する研究
- 研究でやったこと
- 学会発表2回
- オホーツク管内で地域住民とワークショップの開催
修士過程 での苦労
最初に研究や研究以外における修士での苦労についてお話ししたいと思います。
研究で苦労したことはなに?
まさみ:4年のときからの研究を継続してたからから修士以前の話になってしまうけどテーマ設定が一番きつかったかな~。自分の研究って実験とかではなく理論的な話しに近くて。でも研究だからまだやられていない新しいことに取り組まなきゃならないってのがとても難しかった。だって理論の研究なんてこの分野の凄いおじさん達がもう沢山やっちゃってるわけじゃん?笑
修士の2年間なんて全然足りないわけよ。笑
じゅん:まさみと同じでテーマ設定かな。修士で専攻を変えたから基礎知識が全然なかったのもあって1年近くかかったし。女性労働に興味あったが,新規性を持ってくのがむずい。どの分野でも共通かもしれないけど,当たり前の結果を証明するだけじゃ意味ないから,どんな結果を示す必要があるのか,またそれで何があるのかっていう研究の意義を考えるのに時間をかなり費やした。
もえ:私もテーマ設定と,あと先生との相談時間が取れなかったことかな。笑
私も修士から専攻を変えたから先生にも色々相談したかったけど,私の研究はフィールドワークが多いから先生が基本的に研究室にいない。元々は理系だけど修士では聞き取り調査してまとめるっていう質的な文系の研究だから自分で望んで来た修士だけど学部までと違い過ぎて最初はとにかく大変だった。
学部の卒業研究との違いは?
まさみ:研究が学部からの続きなわけだし大きな違いはなかったけど,研究に求められるクオリティは修士の方が断然高いよね。笑
じゅん:自分主体で全部やることかな。学部と修士の違いというよりも研究室の違いになってしまうかもしれないけど,卒論の時は先生の言う通り実験していれば卒業できて,自分のやっている研究ですら本質を理解してなかった。
もえ:私もじゅんと同じ感じかな。学部と修士の違いというよりも研究室の違いが大きかった。
*じゅんともえは学部は理系だが,修士では文転している。
研究以外で苦労したことは?
まさみ:研究以外では何も苦労しなかったかも。。。笑
ただ,修士1年のうちに自分の将来やりたいことが割とはっきり決まって,それが出来そうな就職先に内定ももらえたときに,これからまだ修士にいる必要ある?って思ってしまったのが苦労かな。
じゅん:就活かな。M1の時は自分のやりことが整理できていなかった。合同説明会に行ってもパッとしなかった覚えがある。M2になってOB面談して自分の中で整理ができた。
もえ:就活。。。というか人生?笑
ぶっちゃけ辞めようと思ったこととかある?
まさみ:さっき研究以外の苦労のときに言った通りかな。
じゅん:辞めようと思ったことはない。修士1年の冬は研究テーマが決まらなくて、「俺は何しに大学院にきたのかな〜」って落ち込みながら学校から帰ってた覚えがある。
もえ:2回くらい辞めようかなと思った。畜産出身だから酪農家さんに関わることを修士でもやりたかったんだよね。でも私が思っていたやりたいことと研究として出来そうなことが違って,うわーって思ったのが1回目の辞めたい期でこれが修士1年の7月くらい。2回目は修士2年の6月とか,就活と研究を同時進行でやってて,周りには修士生でも就活生でも自分の好きなことに突き進んでいる人が沢山いて。それと比較して私はぶれぶれだなって思って修士を辞めたくなった。
まさみともえは辞めようと思ったけど結局辞めなかった理由はなにかある?
まさみ:研究も楽しいと思えたからかな。今しか出来ないだろうしやり切ろうかなって思って続けた。
もえ:私も親とか同期に相談したりしてやり切ることが大事って思えたからかな。
修士生の就活事情
修士での苦労で出てきたように,研究で時間が限られた中での就活は研究と同じくらい苦労します。ここでは修士生の就活事情についても軽~くお話します。今度どこかで就活特集の記事も公開したいと思います。
就活でなにか苦労したことは?
もえ:農業に関わりたいってずっと思ってて実際6年間農業に携わってきたけど,このまま農業に突っ走って良いのかな?って苦労したかも。一旦離れてみようかな,けど完全に離れるのは嫌だな。だから最終的に田舎にも工場があって製品としても農業に携われるしっていう感じの立ち位置の就職先に決定した。
じゅん:やりたいことが整理できていなかった。修士に来た時点で自分のやりたいことは絞れていたんだけど,それを広げるべきか突き進むかでは悩んだかな。修士はある程度の専門性を持っているから,その専門に関わるべきかどうかってところが結構悩むと思うな。
まさみ:やりたいことが修士の早い段階で明確になって,働きたいと思える企業もすぐに見つけられたらからあんまり苦労しなかったかも。
研究をすることで就活へのメリットはなにかある?
もえ:研究でも農業に取り組んだし,農業にある程度真正面から向き合ったからこその選択が就活で出来た気がするから,そういう点では研究は就活に活きたのかも。私はスペシャリストよりジェネラリストの方が向いているかな。人と人を繋ぐポジ的な。だからこの術を農業以外から学んでみようって考えられた。
じゅん:研究ではデータを扱ってたから,実際の現場を見たいと思った。特に研究をしっかりやって,本や論文とかも沢山読んだからこそ,知識が付いた分だけ自分の目で見たいと思った。今の就職先への選択は研究をやらなかったらあり得なかったのかなとか思う。
まさみ:研究で色々現場も見たし,研究をきちんとやったからこそ研究では出来ないことが分かって自分のやりたいこともはっきりした気がする。実際,就職先見つけた最初のきっかけは研究での調べごとだったし。
進学して良かったことと 修士過程 での後悔
苦労して終えた修士ですが,ここでは修士を進学して良かったことや,修士のうちにやっとけばよかったなといったことについてお話しします。
学部卒業時と修士卒業時で,自分の中で変わったなと思ったことは?
もえ:わー,むず。周りの人への感謝かな。それに尽きるわ。自分がやろうとしていることが見つかってそれを始めるときに人の助けがいる。研究であれば先生とか先輩。また研究のぐちであれば同期とか。
じゅん:それめっちゃ分かるわ!修士1年のときに調査でカンボジアに行きたかったんだけど,それに行くために副指導教員の人が手配してくれたし,現地の水産局の人とかに沢山世話してもらった。
まさみ:2人とも壮大だな。笑
でも,俺も同じこと思うわ。修士生ってもう良い年齢で一般的には働いている人の方が多い年齢なわけじゃん?でも,まだ学生だから社会的には無力で,色々な人に支えられながらじゃないと何も出来ないんだぞって改めて感じるよね。
あと,物事を客観的に考える力とか論理的な思考はやっぱり鍛えられるよね。
修士過程 を終える前にやっとけば良かったなとか思うことは?
もえ:国際学会に出たかった。最近先生と話して,私の研究内容に関して日本語では論文や学会で似たような先行研究があるんだけど,英語には全然なっていなくて,でも海外でもやっぱこの研究の需要はあるだろうって思ったんだよね。だから国際学会とかで海外の研究者と議論とかしてみたかった。
じゅん:経済学っていうものの基礎を固めたかった。研究では結局ミクロ経済だけで終わった気がしていて、でもマクロ経済とかミクロ経済を応用した行動経済学についてもやりたかった。
まさみ:俺も水産資源学っていう分野に関してもっと基礎から広く勉強したかったかな。いま修士1年に戻ったら絶対したいなと思う。自分の研究には直結しないかもだけど。。。
修士課程 には進むべき?
修士2年間を終えた今だから分かる修士課程進学に関する問題と,それに対する私達の考えをお話ししたいと思います。その中で私達が修士課程に進学しても後悔しないだろう人について考察したいと思います。
修士課程 進学に関する問題点
修士課程は研究するために存在ので,本来ならば研究をやりたい人だけが修士に進むべきだと思います。ただ,(少なくとも私達の大学では)必ずしも全員がそうではなく,他の要因によって修士進学を決定している学生も多数いるのが現状です。
私達の大学の進路選択に関わる出来事の時系列を説明します。
上図のように私達の大学では,就活と研究を本格的に開始する時期が同時期であり,研究を本格的に開始してから数ヶ月後には修士課程入学試験があります。
そのため,研究の経験をしないうちに修士課程への進学を決定してしまいあとで後悔する学生も多くいると考えられます。
実際に私達はどのように進路選択を行ったのかについてお話しします。
修士に進学した理由は?
じゅん:学部のまま卒業したら学生への後悔があった。学問をもう一度しっかり見つめる時間が欲しかった。あと海外協力隊の経験から社会科学に興味を持ったんだけど,この社会科学への興味を解消しないことには成仏できないと思ったから。笑
もえ:私もほぼ一緒。やり切っていない感を払拭するため。
まさみ:学部のときに就活はしてて,水産庁にも受かったし水産業界なら大手とかも行けそうだったけど、どれもなんとなく違うなと思って,学部卒業後の進路が明確に思い浮かばなかったことが一番大きいと思う。やっぱ研究したいから!とかではないよね。研究についてあんま知らなかったし。笑
研究はやる前に思っていたより大変だった?
じゅん:大変だった。テーマ設定がこんなに大変だとは全く思ってもいなかった。
もえ:研究が3年生までのやっていた学生実験の延長だと思っていた。でも,実際にやってみて研究が思った以上に自分でやらないといけないんだなと思った。言われた通りのことをやるだけじゃだめだというのが大変。
まさみ:俺も同じで,研究と学生実験は全く違うよね。ほんとに!
研究における1~10のうち学生実験は4~6を学ぶだけで,しかも研究で一番大変なのは1~3と8~10とかなんだなってのは全く想像もしてなかったわ。
修士に進むのは正解?
研究の辛さも修士で得られる利点も知ったいま,大学生に戻ったら修士に進むかどうか3人の考えはどう変わったのか,また修士に向いていると思う人はどのような人かについて考えていきたいと思います。
大学生に戻ったら修士に進学する?
もえ:私は進まないかな~。私には研究は向かないかな~。
まさみ:難しいな~。修士に来た理由でも話したけど,もし学部の時にやりたいこととかが完璧に見つかっていたら修士に来る必要はなかったから来てないと思う。ただ、学部のときに見つけられるとも思えないし、結局は修士に来るのかな~。
じゅん:進学したいな。研究が好きだと思ったから博士号を見据えて準備するかも。
もえが自分は研究に向かないと考える理由は?
逆にじゅんは研究が好きだと思った理由は?
もえ:私がやりたいことは私自身が当事者意識をもって農家さんと課題を解決していくようなことがしたかったんだよね。でも当事者意識をもって解決することが研究者の最優先の目的ではない気がするんだよね。研究者の目的は何か新しい発見をして学会や論文を通じてその発見を周りと共有するだから,当事者というよりかは一歩引いた目線の気がする。もちろん課題解決の為にはそういった研究者の努力が不可欠なんだけど,私がやりたいことはそこではなかった。
じゅん:解決うんぬんよりも意外と理論の分析が好きだった。もちろん最終的にはその理論の分析をもとに解決に繋げていくのが理想だとは思う。ただ,もえさんで言う一歩引いた方が自分は意外と合っていると思った。
修士に向いている人は?
もえ:修士のイメージとの違いでも触れたけど,課題解決=研究と思わない方が良いと思う。でも単純に勉強が好きっていうのもなんか違う気がする。疑問が楽しめる人は向いてるとは思う。
じゅん:もえさんと一緒で,研究=課題の解決ではないと思うし,もし当事者意識持ってアクティブに動きたい人は修士に来る必要はないかな。
まさみ:他人と比べない人かな。誰が何と言おうと自分がやりたいからこの研究をやるって自信を持てる人じゃないと研究は大変。ただ,もえさんが言うように勉強好きが違うっていうのは大学によると思うな。海外とかなら専門分野の勉強をしっかりやるために通うって大学院もあるみたいだし,日本でも探せばあるんじゃないかな。
修士に進学する前にやるべきことは?
最後に修士課程に進学を決める前にしておくべきことについてそれぞれの考えをお話したいと思います。
修士課程に進む前に何をすればよい?
まさみ:ちゃんと色々調べること。自分がやりたいことが修士でできることなのか先輩なり先生に相談すること。あと,修士に進む前に就活はするべきだと思うな。自分のやりたいことを考える良いきっかけだと思うから。理系の大学は院進が多数派だと思うけど,それに流されずに自分で決めることが大事だと思う。
じゅん:先生との面談かな。研究室で一番お世話になる人だし,合う合わないとかもあると思うから。
もえ:やっぱり話を聞くことが大切!でも,先輩に話を聞くときに気を付けないといけないのは,研究室に残っている人は、研究にむいている人とかバイアスがかかっている可能性があるってことを心にとめておいた方が良いと思う。だからOBとかもう少し大人の人に聞けるならそれが良いと思うな~。
最後にどんな人に修士課程に進学して欲しい?
まさみ:研究をやり切る自信がある人かな。研究を通して色々なものを得られるのが修士だと思う。
じゅん:まさみの言う通りで,修士は研究したい人が来るべきだと思う。研究が将来役立つとは限らない(むしろ無駄になることの方が多いと思う)けど,腰を据えて研究に取り組めるのが修士だから,他のことに時間を使うなら修士に進む方がコスパが悪いと思う。
もえ:前向きな人かな。笑
まとめ
長くなってしまいましたが,今回の記事内容をまとめておきます。
- 研究での苦労
- テーマ設定が一番大変
- 研究は学生実験の延長ではない
- 修士に来てよかったこと
- 自分がやりたいことが明確になった
- 論理的な思考,客観的な視点が鍛えられた
- 自分の無力さ,周りのサポートの大きさが再認識できた
- 修士には来ても後悔しない人
- 前向きな人
- 主体的に取り組める人
- 研究をやり切る自信がある人
- 修士に来る前にするべきこと
- 修士に行く必要があるのかきちんと考える(修士は研究するところ!)
- 研究について知る
- 先生,先輩に相談する
- 周りに流されず自分で進学を決める
今回の著者たちの紹介ページです。今回の内容と少し重複しているところもありますが是非一読下さい。
【自己紹介】Vol.3 数字の力で魚と競馬を読み解く まさみ
【自己紹介】Vol.8 “水産”と”経済”から国際協力へ! じゅん
【自己紹介】Vol.7 農家さんに寄り添った学生生活。次なる挑戦へ! もえ
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