大学生は新聞を読むべきか。新聞と現場から見た実習生問題

雑記

 こんにちは、じゅんです。
 今回のテーマは「大学生は新聞を読むべきか」についてです。このテーマは、大学生であれば一度は耳にしたことがあるかと思います。

 ミレニアル世代と呼ばれる今の大学生の年代は、社会課題に関心をもつ人が多く、新聞は有益な情報源になり得ます。私はM1の夏から新聞を読み、新聞を通して様々な社会問題に触れる中で、「日本は技能実習生をどう受け入れていくべきか」について考えてきました。

 日本の労働人口不足を背景に、日本の技術を途上国に移転するという目的で作られた制度ですが、実習生が担う仕事は単純作業が主で本来の目的に合っていない点も指摘されています。また違法残業や賃金未払い、セクハラなど、受入企業による悪質な行動が報道されています。



 先々月、私は会社の現場研修で技能実習生と作業する機会がありました。「新聞のマクロな視点」と「現場のミクロな視点」で実習生問題にふれることが出来たので、この経験から「社会課題に関心を持つ大学生が新聞を読むべきか」について、私なりの考えを書きたいと思います。

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結論

 
「新聞は読むべきだが、それだけでは不十分。」

 あるあるの回答ですが、これに尽きます。実習生問題について、新聞を通して得られたもの得られなかったものを紹介します。

新聞で得られたもの:マクロな視点

 具体的には、技能実習生制度の目的や制度ができた経緯、受け入れ人数などの統計情報、そして技能実習にまつわる代表的な問題や、それに対する著名人の考えを知ることができました。
 これだけ分かれば十分なのでは?と思う方もいると思います。実際に私もそう考えていました。しかし新聞では得られないものも確かにあります。

新聞で得られなかったもの:ミクロな視点

 具体的には、実習生や受け入れ企業など当事者の生の声、問題が発生する現場の情報です。
 これらについては後ほど詳しく説明します。

 新聞は非常に有益な情報をわかりやすく説明してくれているので、社会課題の全体的な構造を容易に理解できます。新聞を読んで知った気になった私は、著名人の考えを自分の考えのようにして、専門家のように振る舞い恥ずかしい経験をしました(後ほど紹介)。

 今考えると新聞との対話だけで出した答えは不十分で、特定の社会問題に課題意識があるのならば、新聞を持って「現場」に行く必要があるのかなと考えています。

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新聞を購読したきっかけ

 
 そもそも私が新聞を読み始めたのは、時事を知らずに恥をかいたことがきっかけです。

 M1の8月に元国連職員や政府関係者が講師となってお話される授業があり、授業後に夕食をご一緒しました。政府機関に従事する人たちとの会話は、日本はODAを継続すべきか、安倍政権の官邸主導の是非など、世界情勢や日本の政治がメインとなり、学生なりの答えをたびたび求められました。

 当時の私は時事に疎く、全く話についていけませんでした。(ちなみに隣に座っていたかける君は自分なり考えを述べ講師陣を納得させていました。さすがです笑。)

 私は国際協力への関心を強く持ちつつも世界や日本の情勢について知らない矛盾した自分を恥じたことを今でも強く覚えています。

 この恥ずかしい経験から新聞を読み始めたのが、正直なきっかけです。恥ずかしい経験は強烈なモチベーションとなり2年たった今も新聞を読む習慣がついています。

実際に読んでみて。読み方と感想

 私は日本経済新聞を購読しました。月4900円と高額ではありましたが、情報量が多く、政治的に左右どちらにも傾いていないことから日経新聞に決めました。
 新聞の読み方で自分なりに工夫したことと、読んだ感想を紹介します。

工夫したこと

周囲への知識の共有

 私は学校に新聞を持って行き、共有スペースに置いていました。ぐろばるメンバーのたかみつをはじめ、新聞を読んでくれたので、関心のあるテーマで話をして新聞への理解が深まりました。

 また、ぐろばるメンバーで運営するSlack内で「みんなの新聞」というチャンネルがあります。このチャンネルに気になった記事を要約して投稿していました。私自身の要約力もつきましたし、ぐろばる メンバーとの議論も楽しめました。

読んだ感想

1. 知識の量、幅の圧倒的増加

 新聞を読んで数ヶ月で自分の情報量が増えたことを実感することができました。

 日経新聞の情報量はとても多く、世界情勢や日本政治、ビジネスなど幅広く触れることができます。私は特に世界情勢に興味をそそられました。ここ最近は、中国の台頭から日米壕印によるインド太平洋構想の構築や米大統領選挙など世界情勢が激しく変動しています。その変動の原因や各国の狙いなどが新聞を通して知ることができ、楽しみながら知識の量と幅を増やせたと思います。
 
 また2019年には韓国によるGSOMIA破棄など日韓関係が悪化しました。私は札幌の海鮮丼屋でアルバイトしていました。日韓関係の悪化に伴い韓国人観光客が激減したことで、外交問題を身近に感じたことも覚えています。

 

2. 読解力

 日経新聞は他の新聞と比べても情報量が多いため毎日、全部を読むことはできませんでした。見出しや要約を一通り読んで、興味のある部分を読むなど、取捨選択して情報を得る力が身につきました。この力は読書や会社で堅苦しい資料を読むときなどに役立っています。

新聞の限界とは

 新聞を読むことで情報量が増え、ぐろばるメンバーと議論することでさらに知識は深まりました。特に技能実習生問題についてはぐろばるメンバー内で討論会を開き、気分はテレビに出ている専門家に。

 時事を知らずに恥をかき新聞を読み始めた私ですが、今度は時事を知って頭でっかちになって恥をかく事件が起きます。

 M1のときに、農業体験に参加しました。2日間のファームステイで農作業を体験したのち、参加学生と受け入れ農家の意見交換会が開催されました。意見交換会ではたまたま技能実習生の話がでました。待ってましたとばかりに私は、新聞で得た知識を披露しました。

 現場を知らず新聞で得た知識など農家さんに響くはずなどなく、
農家さんからの「実際に見たことあるの?」との一言に私は何も言えませんでした。

 その農家さんは実習生を雇用しており、「住宅や給与をきちんと与えている。確かに新聞では実習生の問題が報道されているが、きちんとやっている人もいるんだよ。」と教えてくれました。

 この言葉を聞いた私は赤面。執筆している今も恥ずかしさで叫びたくなります。

 新聞は課題について説明しているし、その解決方法についてお偉い学者が言ってる。それを読むことで課題を理解し解決案もわかるような気になってしまう。現場に行ったこともないのに上部だけで理解していた。新聞だけではダメだ。そう強く学びました。

会社の現場研修を通じて

 時は流れて現在、私は水産系の会社で働いています。入社直後の現場研修で1週間ほど加工工場で働く機会がありました。加工場には実習生が働いており、技能実習の現場をみることができました

現場で見た技能実習生問題

 今まで新聞から得た知識がなかったのですが、現場で技能実習生と作業したことで実習生問題の構造に新しい気づきがありました。他社との比較ではないので一概に当てはまるわけではないのですが、現場で見た実習生問題の構造への気づきについて紹介します。

現場に行く前

 問題の関係者は、経営者と実習生の2者だと思っていました。経営者が実習生をただの労働者とみなして単純作業をさせていること、実習生の弱い立場を利用していたことが実習生の問題の原因だと理解していました。

新聞で理解していた構造

  • 関係者
    • 受け入れ企業の経営者
    • 技能実習生
  • 問題の構造
    • 経営者が実習生をただの労働者とみなして単純労働をさせる。
    • 経営者が実習生の弱い立場を利用し、賃金未払いなど不当な扱いをする
  • 改善策
    • 受け入れ企業の監視を強化する。
    • 実習生の相談窓口を開設する。

現場に行った後

 現場で気づいたことは、問題の関係者が実習生と経営者、そして工場で働く日本人の3者だということです。
 工場の日本人は経営者からの指示に対応し、かつ実習生をまとめる必要があります。現場は機械の音がうるさくコミュニケーションがとりずらいうえ、日本語が通じないというカオスな状況です。また現場の日本人は外国人に接した経験も少ないです。このような状況下では現場の人間関係は悪化し、大きなストレスを抱えかねません。

 実習生問題の打開策として、受け入れ企業の監視強化や実習生相談窓口の設置などの措置が取られています。しかし、工場で働く日本人の声を聞くこと、そしていわゆるブルーカラーの現場環境をいかに改善していくかが、労働不足への対処という根本的問題の解決に必要だと思いました。

現場に行って気づいた構造

  • 関係者
    • 受け入れ企業の経営者
    • 技能実習生
    • 工場で働く日本人
  • 問題の構造
    • 意思伝達が難しい環境下で日本人と実習生が働くため、両者には強いストレスがかかる。
  • 改善策
    • 受け入れ企業の監視を強化する。
    • 実習生の相談窓口を開設する。
    • 工場で働く日本人の相談窓口を開設する。


私の行動 

 加工場で働いたのは1週間だけでしたが、外国の女性にモテるという私の特性は十分発揮され、顔は覚えてもらいました。また日本人の方は、話(愚痴)を聞くことでスッキリされていた印象を受けました。私にできることは限られますが、現場の人を気遣う姿勢を持ち続けたいなと思っています。

まとめ

 現在、大学生の世代はミレニアル世代やZ世代と言われ、何らかの形で社会貢献をしたいという人たちが多くいます。どういう社会問題が起きているのかを知るには新聞はとても有益です。社会の問題は新聞に上手にまとめられているし、最もらしい賢い回答も見つけることはできます。

 しかし新聞と現場では情報の非対称性が必ず存在します。現場で実際にどのような問題が生じているかは新聞ではわかりにくいです。幸いにも大学生にはたくさんある時間があります。ぜひ新聞を片手に現場に行ってみましょう。

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