【臨床検査技師】医学部保健学科のリアル -北大での4年間-

専門的な内容
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今日のテーマ

皆さん、こんにちは。ようすけです。

今回はテーマは自分がいかにして学部を選んだのか・そして学部では何を学んだのかについて書こうと思います。内容については僕が在籍していた医学部保健学科検査技術科学専攻の勉強面でのお話が中心です。北大の医学部保健学科ベースのお話なので、すべての検査技師養成の機関に当てはまるわけではないので悪しからず!あくまで参考程度にどうぞっ!!

医療系の学部に興味があって進学を考えている高校生やその親御さんには参考になる内容かと思います。

医学部保健学科検査技術科学専攻を目指すきっかけ

まずは保健学科に入る前の話からします。なぜこの学科を選んだのかという話はこれから進路を考える上での考え方の参考になるかもしれないですので、読んでくれると嬉しいです笑

この学科を選んだ理由として最初のきっかけになったのは親の影響です。親が言うには国家資格を持っていると食いっぱぐれることがないということで安心だよ、ということでした。当時の僕は自分のやりたいこと・勉強したいことが定まっていませんでした。自分なりに以下の理由から進学・専攻を決めました。

  • なんとなく医療という社会貢献性の高い仕事にかっこよさを感じていた
  • 親戚に医療従事者が多く、仕事をある程度イメージできた
  • ありがとうの言葉を一番近くで聞くことができる。(患者さんとの距離が近い)
  • 化学が好きだった

とはいえ一番大きい理由は、親の勧めでした。よくない選び方ですね。今振り返ると自分軸がなくて他者・環境軸で決めたなーと思います。結論どうだったか、という話はこの記事の最後にしています!

そうして(浪人1年を含む)試験勉強をしたのち晴れて医学部保健学科検査技術科学専攻に入りました。検査技術科学専攻というのは、臨床検査技師という国家資格を取得できる学科です。実際病院ではどういったことをするかというと検査のスペシャリストとしての役割が期待されています。たとえば心電図やエコー検査や脳波、血液検査、尿検査、微生物検査など幅広い検査業務を担う職種です(これらはほんの一例です!)。病院でやることを書いたとおり勉強の分野としては、生物と化学が中心です。高校の授業で化学が好きだったので選びました。

学部2年

北海道大学では1年生のうちは全学部共通で学ぶ教養の勉強なので1年時は専門的な内容には全く触れません。ですので2年生のときの話から始めようと思います。

専門の勉強が始まる2年生時は、生化学や生理学、解剖学、公衆衛生学など基本を学びました。講義は週に10もいかないくらいで余裕のある生活をしていたな。かなり基礎の話なので他専攻学生の保険学科の学生と一緒に広義を受けていました。専攻によってカラーが全然違っていて、雰囲気でだいたいどこの専攻の学生かわかります笑 僕の代では検査専攻は真面目・落ち着きがある、放射線専攻は元気・みんなで楽しむ、看護専攻はイケてる・ポジティブ、こんなイメージでした笑(理学療法・作業療法は申し訳ないがあまり覚えていません💦💦)

一部は検査の専門性のある授業があったのですが、3年次以降の本格的な勉強のためのさわりのような立ち位置で全体感をざっくり習うような内容だったと記憶しています。

  • 実際に受けた授業の科目名(一部抜粋)
    • 保健・医療の基礎
      • 公衆衛生学Ⅰ
      • 社会保障・福祉概論
    • 人体の構造・機能
      • 保健解剖学
      • 保健生理学
      • 代謝生化学
      • 組織解剖学
    • 検査技術科学の基礎
      • 臨床検査学
      • 医用工学概論
      • 生体分析学
      • 検査機器学Ⅰ

学部3年

3年生になると本格的な実習をたくさんこなしました。講義の多さは3年がトップだと思います。実習と言っても実験に近いものでした。例えば学生同士で採血の練習をしたり、学生同士で心電図をとりあったり。

免許を持っていないので患者さんを相手にできないため基本的にはすべての学生同士でやっていました…!尿検査とかはじゃんけんで負けた人が採尿して実験のサンプルにしたり笑

レポートもそこそこあって結構忙しい日々でした。(特に僕は部活をやっていたので)ただ座学だけではなく毎回異なる実習をしていたので飽きるようなことはなくて楽しかったです。

個人的に印象に残っている授業といえば”病理学実習”と”病理組織細胞学実習”ですね。この授業ではさまざまな体の細胞や組織を顕微鏡でたくさん見ます。はじめのうちは、膵臓も大腸も腎臓もすべて同じに見えて、何も区別できていませんでした笑 実際働いている人たちは毎日同じような組織を見て、その中から病変部を見つけているのだと思うと、それが特殊能力のように思えてとても人間業とは思えませんでした。やはりやっていくうちにわかっていくようで段々とわかるようになっていきます。コンピュータと同じで何回も何回も見ていると脳内でデータとして蓄積されていくような感覚でしたね。

授業が講義、実習・レポートが多くて忙しさで言うと3年(特に後期!)が一番忙しいかもしれないですね。

学部4年

4年生になると、卒業研究と、病院実習、国家試験です!

北海道大学医学部保健学科検査技術科学専攻では4年前期が卒業研究、4年後期が病院実習でした。

卒業研究

卒業研究では生理❪超音波検査❫、生化学、血液、病理、微生物の研究室分かれて研究をしました。

参考までに僕は、細胞の老化の原因である細胞の酸化の程度を知るための体内の物質の定量測定がテーマでした。具体的にはF2-イソプロスタンという物質の血中濃度をLC-MS/MSという測定装置を使って測定していました。❪興味があれば調べてみてね❫

病院実習

後期の実習は北大病院に毎日通っていました。一通りすべての検査部門を3ヶ月くらいかけて回ります!

北大のOB・OGの人が多くてめーちゃくちゃ楽しいです笑

国家試験を受ける人(ほぼ全員だけど)にとっては知識を実習の経験と結びつけて記憶を定着させるチャンスです。

そして年内で実習を終えます。

国家試験

そのあとは国家試験の勉強まっしぐら、といった感じでした。

北大は正直試験対策のサポートは薄いと思います。大学の講習や直前講座のようなものはありませんでした。模擬試験の団体実施はしてくれますが!

なぜ国家試験に対する支援があまり期待できないかと言うと、学部で国家資格をとってそのまま病院就職するというキャリアパスを主眼に置いて作られたカリキュラムではないからです。学部を出た後に大学院進学をして臨床検査の研究者育成したい、という狙いがあるように思います。例えば、臨床検査の技術の発展や病院で働く検査技師がより働きやすくなるような検査システムを開発したりなどですね。

したがって、国家資格に合格するための勉強ではなく、理論や基礎に裏打ちされた学問としての臨床検査を学べる大学、と言い換えることもできると思います。ここについては一長一短でどちらが良いという二元論では語れない部分だと思います。

僕としては、そういった基礎を含めて勉強できたことで内容の定着ができたと感じています。覚えなきゃいけないことはたくさんあるんですが、なぜそういうシステムになっているのかを知っていると、記憶を引き出すときのフックになるし、単なる知識ではなく、知恵として、実際の生活でもやつ出す瞬間がたま~にあります。例えば、ビタミンCがお肌に大事って言うけど具体的に体のどこらへんでどんな役割を果たしているのか、とか鉄が不足したら貧血になるけどいつ・どれくらい摂取したら体でうまく使えるか、そしてそれはなぜかとか。自分の体がどのように機能を果たしているかをロジカルに説明するためには、基礎知識が不可欠ということです。

下の表は過去4年の合格率(北海道大学と全国平均)です。

これを見る限りでは特別北海道大学の合格率が低いというようなことはないことがわかります。なのでここまでの話で北海道大学いったら国家試験落ちるんじゃないかと思った人も安心ですよ!笑

卒業後の就職先って??

ここまでは大まかに、保健学科を目指すきっかけと4年間の流れを書いてきました。ここからは卒業後にどんな就職の可能性があるのか、ということについて書きます。

僕は進学を選んだのですが、ここでは就職することを前提にして僕の同級生の進路も踏まえつつ書きます。

まずはかなりざっくりですが、僕なりの就職先選びの考え方をまとめたマトリックスを示します。

基本的には病院に就職する人が多いです。僕の同級生では6割位が病院でした。3割が進学、1割が民間企業といった感じでした。今回は病院と病院以外でフラットに進路を考えるときに僕が考えていたことを上記の図を通して説明したいと思います。

病院と病院以外での大きな違いは患者との距離と影響力だと思います。この2つのポイントを軸にして考えると思考を整理できると思います。病院に決めたあと、もしくは民間に決めたあとはまた考えることが在ると思いますが、最初のきっかけとして進路を考える上で参考になると思います。まずはそれぞれの項目について説明していきますね、

患者との距離:これは読んで字の如しです。他の言葉で言い換えると、ありがとうの距離ということができると思います。特に生理検査(超音波や脳波のような直接患者さんの体を検査するタイプの検査)は直接やりとりするので、直接感謝いてもらいやすいと思います。患者さんの顔を見られるというのはやりがいに大きく影響するのではないでしょうか。

影響力:言い換えると救える命の数と捉えてください。直接患者さんと接しながら医療をすすめていくとなると、当然一人ひとりに検査の時間を要することになります。そのため数という意味での影響力は小さい。逆に新たな検査機器の導入を支援したり検査の簡単さや短時間化に寄与するような研究というのは将来的には何万、何十万という人々の命を救うことになる可能性があります。

図中には病院、民間の検査センターという項目を入れました。検査センターというのは、小さな病院やクリニックで自前の検査部を持っていないところから委託されて検査のみを請け負う会社のことです。やることとしては病院に似ているが、病院ではないので別にしてみました。他にも福利厚生やお給料や働き方は病院を選ぼうが民間を選ぼうが検査センターを選ぼうが比較検討しながら考えていくことになると思います。つまりそういったことは大枠(病院or民間)を決めてから考えれば良いと感じています。その意味では上記の2つのポイントについてまずは考えてみるというのはアリかなと思います。

結論、保健学科入ってよかった???

ここかれは僕個人の話です。保健学科を目指すきっかけは親からの勧めが大きいというものでした。ある意味受動的に入学したわけですが、4年間過ごしてみて結局よかったのかどうか、といったところを話します。

結論、良かったと思っています。大まかに2つの理由があります。

1つ目の理由は病院に行かないにしてもヘルスケアに関わる僕にとっては将来に役立つからです。最終的に民間の企業に行くことを決めたわけですが検査技師の勉強になったことは広い意味では医療や健康で同じなので、今後役立つと思います。病院外でできることは増えては行きますが、病院でしかできないということは必ずあります。包括的に健康的な増やそうと思うと、病院の”現場”を知っているというのは役立ちそうです。

1つ目の理由は検査の勉強を通して将来やりたいことが見つけられたからです。なんとなく親のススメで入学したわけですが、健康に対する興味がわきました。シンプルに言うとヒトの人生にとって健康って必要不可欠だよね、何をするにしても土台になるよね、ということです笑

踏み込んだ話をすると、治療という- → 0or+ にする作業には興味が持てなかったけど、病気の予防・健康増進という0 → 0or+ にする作業には興味が出たんです。病気を治すとおう行為はそもそも病気になる原因を潰さない限りいたちごっこのように感じました。本質的な、根本的な解決ではないというふうに感じました。これは臨床で活躍されている医師や看護師や検査技師やその他医療従事者の方々の仕事を否定しているわけではなく、あくまで自分は興味がでなかったという話です。僕の場合、期待に答えるよりも相手が予想もしなかったサプライズで相手にプラスの影響を与えるのが好きなタイプなのでそういった結論になりました。ここらへんの話は自己紹介の記事でもしているので興味の在る方は読んでみてください!

まとめ

今回は僕の学部時代の話をお話しました。

保健学科や臨床検査技師に興味ある学生や親御さんにとって参考になればいいな。実際入って経験してみてわかったことをこの場を通じて伝えらたらいいなと思っています。

念押ししておきますが、あくまで僕の経験を通した個人の感想が多いです!気になる方はご自身で確かめてみてくださいね!!

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参考

北海道大学医学部保健学科カリキュラムマップ(平成28年度以降入学者対象)

2020年 臨床検査技師国家試験結果|旺文社教育情報センター

2019年 臨床検査技師国家試験結果|旺文社教育情報センター

2018年 臨床検査技師国家試験結果|旺文社教育情報センター

29年 臨床検査技師国家試験結果|旺文社教育情報センター

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