障がい福者向けグループホームでアルバイトをした私が考えた事

こんにちは、はるです!

今日は、私が障がい者向けグループホームでアルバイトする中でいろいろ考えた事があったので、お話しさせてもらおうと思います。

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なぜ障がい福祉に関心を持ったか

私の周りには小さいころから重度自閉症の従兄、統合失調症の伯父が身近にいました。それに私自身も小学校低学年の頃、人と関わったり絵や文章で自分を表現する事が極端に苦手だった事から療育(発達に問題がある子供をサポートする施設)に通った経験があります。当時はいろいろ大変でした。私もだけど、多分それ以上に親が(笑)。このことはいつか機会があればまた詳しく話しますね。

そんな感じだったので自然と障がい福祉というものを身近に感じ、興味を持つようになりました。

そんな時にたまたま大学のバイト募集掲示板で札幌市内の障がい者向けグループホームの夜勤アルバイト募集を見かけて働くことになりました。

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どんな仕事してたの?

障がい者向けグループホームの夜勤って言われても、どんなことしてるのかいまいちピンと来ませんよね?

私の職場のグループホームは比較的小規模で、常時10名ほどの入居者さんが暮らしています。入居者さんは皆さん何らかの知的・精神障がいを持った方です。雰囲気は少し広めの家といった感じで、各々に個室は用意されていますが食事はみんなで一緒に食堂で取るし、食事の時間以外も食堂でテレビ観ておしゃべりしながらのんびりすごす入居者さんもちらほらいます。

ほぼ自立して生活できる方から24時間見守りが必要な人まで、一口に障がいと言ってもその種類、程度や特性は様々です。

夜勤では夕食時~翌朝通所先に出発するまでの時間帯の見守り、服薬管理や入浴介助、着替えの手伝いなど生活介助全般を担当していました。人によってはトイレやお風呂の介助も必要なので、原則女性入居者は女性スタッフが、男性入居者は男性スタッフが行うことになっており、毎晩男女一人ずつスタッフが夜勤に入る感じです。施設というよりも大きな家という方がしっくり来るような、家庭的でのんびりとした場所です。アルバイトの私も入居者さんと一緒にご飯を食べてテレビをみながらおしゃべりしている時間が多いですね(笑)夜勤で月に何回も泊っているのでもはや第二の家のように感じてます。

アルバイトを通して考えた事

障がい者と健常者が関わる場の少なさ

まず痛感したのが、今まで自分がいかに家族以外の障がい者の人々と関わらずに生きてきたのかという事です。

入居者さん達は、例えば夕食後にお菓子を食べながらおしゃべりをするのが好きな人、映画が大好きで毎週金曜ロードショーを楽しみにしている人、お風呂が大好きで毎日いろんな入浴剤でのんびり楽しむ人、絵を描くのがとても得意で将来絵の先生になることを目指している人、アイドルグループが好きで部屋のDVDコレクションを観て楽しんでいる人など、障がい者である以前に皆さん個性があり、趣味があり、それぞれの生活スタイルがあります。また、障がいの種類も様々ですし、同じ障害名がついている人ですらその程度や具体的な困りごとはかなり異なりますので、必要な支援も一人一人異なります。

そんな当たり前の事さえ、実際に彼らと関わるまでピンと来ていなかったのです。

私たちは「障がい者は~」と一括りにして考えてしまいがちですが、それがいかに無理のある事なのか気づかされました。

今の日本では、かなり早い段階からいわゆる健常者と障がい者は分けられてしまいます。小学校でも特別支援クラスの児童と関わる機会は少なかったなと思うし、中学校以降はそもそも同じ環境にいない環境が当たり前になっていますよね。

結果的に私たちが彼らについて知るのは主にメディアから得られる情報になるわけですが、それもまたやたら感動的だったり、何か特別なことを成し遂げた人ばかりが取り上げられているような印象があります。しかし実際は障がい者の方々がみんなパラリンピックを目指しているわけでもなければ特別なアートの才能を持っているわけでもありません。ほとんどの人はごく普通に毎日を生きています。その中で、障がいがあるからこその様々な困りごとにも日々直面しています。

もっと子供のころから当たり前にみんなが混ざり合って生きている社会であれば、現実的な困りごととか上手な付き合い方とか自然と理解できるんじゃないかな、と感じます。学習や仕事において違いがあるのは事実なので分けた方がお互い楽だとは思います。一緒にやるには様々な工夫や配慮が必要になりますからね。でも、その工夫や配慮をするのが当たり前の社会になってほしいな。

施設=可哀そう、じゃない!!!社会みんなで支えなきゃ

あともう一つ非常に強く感じたのが、障がい者含めケアが必要な人への責任を家庭だけに押し付けるのではなく社会全体で支えていくことがめちゃくちゃ大事だという事です。私のバイト先の入居者さんの中には軽度から重度まで様々な障害を持った方がいますが、中には「この人家で面倒見るのは相当大変だろうな」と思うような方もいます。

例えば重度自閉症の男性で、常に何かしていないと落ち着かないという特性のため一人で部屋にいると部屋の中のありとあらゆるものを破り、カーペットをむしり、紙を破いてまき散らし、コンセントを片っ端から抜き…と、困った行動を取ってしまう方がいます。そのため、起きている間常に誰かしらが付き添って簡単なパズルなどの作業を与え続ける必要があります。また、夜間も突然起きる事があるため見守りが必要です。この方がここに入居される前は、なんとお母さんがほぼ全て一人で20年以上面倒を見ていたそうですが、お母さんが亡くなり、ほとんど関わって来なかったお父さんだけでは対応しきれなくなったため入居に至ったそうです。生前お母さんが背負っていた負担は本当に想像する事すらできません。それに、親と言えど障がいについてプロではないお母さんが全て背負っていたために間違った対応をしていた面もあったようで、彼はここに来たばかりの頃と比べて今では大分生活が安定してきています。

ここまで重度でなくとも、日によって気分の波が非常に激しい方、おしゃべりが好きだけれど相手の都合を考えることができずに延々と同じことをしゃべり続ける方など、毎日ずっと一緒にいたら大変かもな、という例はたくさんあります。

今の日本社会では何となく、家族の面倒はなるべくお母さんを中心として家族が見るべき、施設に入れるのはかわいそう、と言ったイメージがありますよね。しかし、いくら家族と言ったって大変なことは大変だし、ケアのために家族の誰かがやりたい事を諦めざるを得ないという状況も無くしていかないといけないと思います。

それに、障がいの事を良く知るプロがそばにいるというのは何よりも本人にとって大きなメリットになり得ます。知識と経験があるからこそ彼らの言動の意味や本人が感じている辛さを理解して正しい対応を取ることができますし、何か問題があった時に通所先、医療機関などとすぐに連携して適切な対策を取ることもできますからね。

それに、家族だけで向き合おうとしたらしんどすぎるような事も、施設だったら職員が分担して面倒を見れるので「まったくもう!(笑)」という感じで余裕をもって接する事が出来ます。それは支える側、支えられる側両方にとって良いことではないでしょうか。

もちろん誰もが施設に入るべきと言うわけではないし選べることが大事だと思いますが、本人や家族が必要とした時にこうした福祉施設を利用するのは当然の権利だという事、もっと理解が広がるといいなと思っています。施設っていう言葉に何となくネガティブなイメージを持っている方が多いかもしれませんが、少なくとも私のバイト先は食事の提供はあるものの強制ではないので自分で勝手に好きな物食べてる人もいるし、身の安全さえ自分で確保できる人であれば一人でフラフラ出かけても問題ないし、就寝時間や起床時間が一律に決まっているわけでもなく、個室が用意されてるのでプライベートも確保されていて、よくイメージされるような「施設暮らしは自由が無い」みたいなことはそんなにないんじゃないかなと感じました。

そしてさらに言うと、福祉の現場で働く人の待遇改善は本当に急務です。私は他にも障がい福祉のアルバイトを経験し、就活でも福祉関係の企業をいくつか受けたのですが、こんなに必要とされている仕事なのに本当にどこもかしこも低賃金で人手不足、サービスを必要とする人の多さに対して需要が追い付いていません。仕事の性質上お金儲けができる業界ではないので、政治がしっかりとその重要性を認識してサポートするべきですね。

最後に

私は障がいを持つ当事者でもその面倒を見る家族でもなく、ただ数年アルバイトで携わっただけの学生です。そんな私が障がいについての記事を書くのはどうなんだろうと迷ったりもしました。所詮部外者、なんもわかっちゃいないと言われれば、その通りですとしか言いようがありません。

けれど、障がい者に関する問題をその当事者だけで考えているようではいけないんじゃないかと思ったんです。障がい者だろうと健常者だろうと同じ社会で生きているし、いくら当事者が頑張ってもその他大勢が無関心なままでは社会は変わらないと思うのです。それに、ある日突然けがや病気で障がいを持ったり、家族として支える立場になる可能性は誰にでもあります。そういった意味で、関係ないなんて思わずにみんなで一緒に考えていけたらいいなと考えています。この記事を読んだ人が一人でも障がい者に関する問題を身近に感じてくれたらとても嬉しいです。

この記事を読んで少しでも興味を持ってくださった方に是非見てほしいおすすめのコンテンツを紹介しておきますね!

・バリバラ

毎年24時間テレビの裏でケンカを売っていることで有名なNHKの番組です(笑)「バリアフリーバラエティー」の略でバリバラ。障害者を含めあらゆるマイノリティーに関する問題を楽しく真面目に扱っています。障害者を扱う番組でよくある「可哀そう」「助けてあげたい」というような視点ではなく、「こんな困りごとがあるみたいだけど、どうすればいいかな?一緒に考えてみよう!」というスタンスなのがとても良いです。出演者もみんな個性が光ってて素敵!

バリバラ
「生きづらさを抱えるすべてのマイノリティー」にとっての“バリア”をなくす、みんなのためのバリアフリー・バラエティー。笑いの要素を織り交ぜ、当事者たちが発信。本音トークでこれまでタブーとされてきたテーマにも挑んでいきます。みんなちがって、みんないい。多様性のある社会を、笑いを通して考えていきます。

・自閉症の僕が飛び跳ねる理由

言葉を話すことができないほどの重度自閉症である著者の東田直樹さんが、文字盤を使う事でコミュニケーションを取る術を習得し、自らの言動の理由や日々感じていることを小説にしたものです。重度自閉症当事者の内面を知ることができるという点で本当に貴重な本で、世界30か国で出版されたベストセラーです。私も読みましたが、身近にいる自閉症の入居者の方の一見不可解にも思える言動を理解するうえで大きな手助けになりました。それに、言葉を話せない彼らの内面にこんなに繊細な感情、思考があったのかと気づかされたという点でも大きな衝撃を受けました。本当に是非みんなに読んでほしい。

自閉症の僕が跳びはねる理由
文庫「自閉症の僕が跳びはねる理由」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。28か国で翻訳、世界的ベストセラー!会話のできない自閉症者の心の声。

私は4月から社会人になるので、アルバイトは辞めてしまいます。けれど業務を通して多くの事を学ばせてもらった身として障がい者が生きやすい社会を作る一員としてこの問題に関心を持ち続けたいし、街中や職場で出会ったときに彼らの味方になれるような存在でい続けたいと思っています。

長くなりましたが、最後まで読んで下さりありがとうございました!


 

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