食の北海道ブランドと健康食品の融合 -ヘルシーDoとは何か-

専門的な内容

こんにちは。ようすけです。
みなさん、スーパーとかコンビニで最近「中性脂肪が気になる方へ」とか「高めの血圧が気になる方へ」とか「ストレスを低減する」とかってパッケージの商品よく見かけませんか??同じような商品だけど、健康に良さそうだからそういった表示されている方を手にとったりとかありませんか??今日はそんな健康食品についてお話したいと思います。ただ、内容としては北海道の健康食品について話したいと思います。学部時代に医学部に在籍し、大学院で国際食資源学を専攻した筆者ならではの視点でお話できればと思います。

北海道オリジナルの健康食品の認証があるってご存知でしたか??知らない方も多いのかなと思います。2,017年の調査によると北海道民の30%が知っていると回答したそうです。逆に言うと7割の北海道民は自分の住んでいる北海道でのそういった取り組みを知らなかったということです。なので今回は認知を広めたと思ったのがこの記事を書くきっかけです。

みなさんご存知のように”北海道ブランド”というのは今や日本のみならず世界に知られています。ただもっともっと北海道の食のポテンシャルはこんなものじゃないと思っています。北海道を真の意味で世界に誇れる食の宝庫になったらいいなと思っています。結果として日本や筆者の地元北海道鹿部町が元気になってくれればいいなと考えていたりします。

というわけで”北海道ブランド×健康食品”という強いタッグを組んだ北海道の健康食品の認定制度について書いていきたいと思います。

北海道の健康食品認定制度、ヘルシーDoとは

北海道の健康食品の認定制度は正式には「北海道食品機能性表示制度」通称ヘルシーDoと呼ばれています。2,013年4月1日から始まりました。以下のような特徴があります。

  • 北海道産の機能性素材を使用
  • 北海道で製造された加工食品
  • ヒト介入試験の査読付き論文
  • 北海道町が認定

 一言でいうと”食品に含まれている機能性成分に関して「健康でいられる体づくりに関する科学的な研究」が行われた事実を北海道が認定する制度”です。分かりやすいロゴが設定されています。すぐ目につくような分かりやすいロゴににっています。

ヘルシーDoには3つの特徴があります。ひとつずつ説明していきます。

科学的根拠はトクホ並みの基準

ひとつ目は科学的根拠です。食品に含まれている機能性成分に関して「健康でいられる体づくりに関する科学的な研究」を分解して考えてみましょう。

「健康でいられる体づくりに関する科学的な研究」というのは実際のヒトを使った実験の結果をもとに論文が書かれた研究です。このヒトでの実験というのはいきなりヒトで実験(治験というとイメージしやすいかと思います。)を行うわけでは有りません。後述しますが、いわゆる”トクホ”で要求される科学的根拠と同じものです。
科学的、というのは認定の基準で言うと査読付きの学術論文に掲載されているということです。これはトクホや他の国が規定する健康食品の認定基準にはない要件になっています。

北海道での製造へのこだわり

ふたつめは北海道産へのこだわりです。
販売までの大まか流れとしては以下のようになります。

機能性素材の製造 → 商品製造 → 販売

機能性成分の素材の製造と商品の製造は基本的には北海道で行われます。特に機能性素材の製造は例外なく北海道での製造が要件となっています。機能性成分の素材を混ぜて最終的な商品を作っていくわけですが、そういった工場が道内に増えていくきっかけを与えてくれています。そうすることで地域の雇用を生んだり、街の活性化にもつながっていくのではないでしょうか。

一方で北海道の加工にかかわる工場というのは全国と比べても強固とか言えないようです。そこで2015年から北海道外の企業による販売も認められ始めました。自社道内拠点、もしくは北海道内でのOEM(自社ブランドの商品製造を委託すること)で商品製造されれば、道外でも販売できるようになりました。運営側の意図としては北海道外のバリューのある商品をヘルシーDoに仲間入りしてもらうことで脚光を浴びて認知度を高めるための呼び水にしたいのではないでしょうか。
北海道で製造されれば販売は北海道内でも北海道外でもよろしいと言うことです。見方を変えて消費者の目線に立つと、北海道に住んでいない方でも手に取ることができると言うことです。

産官学の連携の高付加価値化をねらったバイオ産業の成長

3つめは産官学の連携が不可欠ということです。

産 バイオメーカーによる素材開発 食品メーカーによる商品製造

官 北海道による認証 申請時の審査に対するフィードバック

学 公設試験研究機関 機能性素材の基礎研究

筆者の思いつくところでいうとこんな感じです。北海道の多くの企業・自治体・研究機関が関わることでより成長につながるのではないでしょうか。それぞれの得意分野で取り組んでいった結果として北海道全体として盛り上げていけるといいな、と夢想しています。
消費者目線で言うとヘルシーDoの認証のある商品を買うことが自らの健康的な体作りだけでなく、北海道に対する応援になると言い換えることができると思います。豊かさの意味が変わってきている現代ではこういった消費を単なる浪費ではなく、応援や支援や感謝のようなイミを乗せてお金を出すということが増えていくと思います。マーケットに受け入れられなければ始まらないとは思いますが、先の未来ではこんなこともあるといいなと思いました。

そもそも健康食品って何?

この記事では健康食品という言葉を多用していますが、みなさん厳密に健康食品の定義を知っていますか??健康食品に関する記事はネットに山のように転がっているのでここでは軽く説明します。

健康食品の分類

食品というのは一般食品と保健機能食品とに分けられます。国の制度に則り、国の定めた安全基準や有効性に関する基準等を満たしたものが保健機能食品です。その他の食品すべてが一般食品になります。では国の定めた制度とはなにか。3つあります。特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品・機能性表示食品です。トクホは皆さん馴染み深いのではないでしょうか?

ではヘルシーDoはどこに入るかと言うと、一般食品です。ヘルシーDoは国の認めた制度ではなく北海道が認めた制度になっているので、制度上は一般食品になります。

次に一般食品の中にある”いわゆる「健康食品」”について説明します。”いわゆる「健康食品」”とは何かというと保健機能食品ではないが効果効能を示唆するような健康食品のことです。これは筆者が勝手に呼んでいるものではなく厚生労働省のホームページに記載のある言い方です笑 上記の国の制度に則ったものではないということです。これは健康の維持増進に役立たないというわけではないです。ただ国の認可を受けていないということです。一般消費者の方にとっては見分けはつきにくいかもしれないです。スーパーやコンビニで見かけてもわかりにくいかもしれない。

じゃあ何が違うんだといいますと、安全性や有用性が担保されていない、ということです。保健機能食品やヘルシーDoは機能性成分が効果があると実証されているだけではなく、過剰摂取に対する試験や長期摂取に対する安全性他には倫理面での審査をくぐっています。もしくは企業が事業者自らの責任を持って表示されます。もし健康を脅かすような事件が発生したら企業として立ち行かなくなるので事業者はその安全性は担保されていると言って良いと思います。
一方で”いわゆる「健康食品」”はすべてかどうかは不明ですが、そういった試験や審査を通っているわけではないです。場合によっては過剰摂取の副作用がでる可能性があったり、食べ合わせによって期待される効果が出ないということもありうるということです。

それぞれの制度の違い

詳しく一つ一つの制度をみていきませんが、めちゃくちゃざっくりした図が上記のものになります。効果効能を国が認めているものがより上にきています。
例えば医薬品は用法用量を必ず守りましょう、とテレビなどでも見ることがあると思います。医薬品・医薬部外品の次に上にあるのが特定保健用食品(トクホ)ですが、トクホも実は摂取が厳密に定められています。医薬品・医薬部外品ほど厳密ではないですが、それに順するくらいしっかり明記されています。逆に言うと記載の用法を守らなければ記載されている効果が得られないかもしれないということです。
あくまで効果効能があると国の制度に則っって評価されている度合いであって、効果効能それ自体の度合いではないことに注意してください。

ヘルシーDoの広がり

では次に、保健機能食品とヘルシーDoの違いに着目して見ていった後にヘルシーDoの広がりについてお話したいと思います。

特定保健用食品・機能性表示食品・ヘルシーDoの違い

項目特定保健用食品(トクホ)機能性表示食品北海道食品機能性表示制度
(ヘルシーDo)
制度創設1,991年2,015年2,013年
効果効能の表示保健の用途健康の維持増進に役立つ/適する旨の表示不可 但し健康でいられる体づくりに関する科学的な研究がおこなられたことを北海道が認定した旨の表示
対象食品加工品・生鮮食品加工品・生鮮食品加工品
管轄消費者庁(許可)消費者庁(届出)北海道(認定)
科学的根拠ヒト介入試験・最終製品を対象とした臨床試験
・最終製品に関する研究レビュー
・機能性関与成分に関する研究レビュー
ヒト介入試験の査読付き論文
研究費※1億単位億単位1000万円前後(幅あり)
売上規模(億円)6,493(2019)2,843(2020)46(2020)
各種制度の比較 ※北海道食品機能性表示 制度(ヘルシーDo)
~ 全国初!自治体による健康食品表示制度 ~より

詳しく説明しないと言ったもの比較対象として特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品を引き合いに出して話します。

まずは上記2つを対象にした理由を説明します。トクホを選んだ理由はみなさんが知っている保健機能食品の代表だからです。この代表選手と比べることでヘルシーDoがどういったものかより解像度高く理解できると思います。機能性表示食品を選んだ理由は制度上はヘルシーDoと機能性表示食品は似ているためです。

まず大きな違いは管轄です。ヘルシーDoは北海道、その他は国が管轄しています。制度創設されたのはヘルシーDoが2013年、機能性表示食品が2015年、トクホが1991年です。つまりヘルシーDoは今年で8年目を迎えているということです。
科学的根拠はについてはトクホとヘルシーDoは似ています。ともにヒト介入試験が要求されます。ヘルシーDoはそれに加えて査読付きの論文誌に掲載する必要があります。査読というのはその分野の他の研究者に論武運の内容を評価してもらうということです。これは論文誌の編集委員会が依頼します。矛盾があったりそもそも多くの人に知ってもらう価値があると判断されてはじめて査読を通過します。つまり査読付き論文というのは当事者だけでなく他人から見ても矛盾なく、価値があると判断された論文ということができると思います。この点を見るとトクホよりも科学的根拠の要求が厳しいのではないかと思いますよね。

売上規模でいうと機能性表示食品の62/1、トクホの約1/150とかなり離れています。

売上の推移

2013年が売上26億円、2020ねんが46億円と伸びてきているようです。この8年間の累計で246億円に達しているということでした。その他の都市の売上や、品種別の売上はわかりませんでした。堅実に伸びてきているのではないかと期待を込めながら考えています。ただ、ある記事によるともともとあった商品に機能性素材を加えて販売したものが売上を支えているということが書かれていました。それがどの程度なのかわかりませんが、消費者の胃袋と健康、両方を満たす魅力的な製品をもっと作れるといいなと思います。

ヘルシーDoのこれから

 こちらのホームページから商品が見れます。気になったものがあればネット販売で取扱店を調べたりもできるようです。機能性素材そのものに興味がお持ちの方は北海道機能性食品素材データベースで素材そのものを詳しく見ることもできます。ものによっては論文も読めたりするので面白いです!

2020年に累計認定医商品は121品(64社)になったようです。年々増加傾向を見せています。さらに以下のポイントがこれから期待されることです。

  • 具体的な効果効能の表示の実現
  • 製品に論文情報へのリンクの実現
  • 機能性表示食品との併記
  • 機能性素材の臨床試験の拡充
  • 大手企業の参入促進
  • 制度認知度向上

ヘルシーDoをモデルとして沖縄や四国4県、新潟県でも独自の認証マーク制度を始めているようです。ヘルシーDoは日本初の食品機能性表示制度として業界をリードし可能性を切り開いていくパイオニアであり続けてほしいと思います。

さいごに

今回はヘルシーDoという北海道の食品機能性表示の説明をしました。そしてそこをより他のものと区別して理解するために特定保健用食品と機能性表示食品についてもお話しました。

実は筆者は大学4年の頃にこのヘルシーDoに関わっている教授の講義を受けていました。たしか「健康食品学」という講義名だった気がします。改めて記事にするにあたり勉強し直しました。多くのことを忘れ去っていました泣 再勉強して感じたことはやはり一般消費者にとっては煩雑で詳しいところまで関心の向くものではないのかもしれないと思います。ただ間違いなく世間の関心が上がっていくトピックだと思うので理解しておくことはとても大事だと感じています。

国の制度であるトクホや機能性表示食品にはヘルシーDoの売上は及びませんが、北海道の食材のポテンシャルを考えるとまだまだこれから伸びていくと思います。

機能性素材もどんどん研究されているようです。基礎研究が多くされていて、あとは臨床研究❪ヒトにとって意味のある効果を出せるかや安全性❫をすれば新素材として認められるようなものもたくさんあるようです。

北海道のイメージが美味しい、安心、安全だけでなくプラス健康という武器を得られると北海道の食に関する産業は世界へ力強く羽ばたけると思います。

呼び水としての大手企業を誘うために、認知拡大と制度の充実をはかっていけるとよいと思います。

この記事を通して認知拡大の一翼を担えると嬉いと思います。

消費者としては正しい知識を持って健康食品❪厳密には”いわゆる「健康食品」”❫と関わっていってほしいと思います。良ければヘルシーDo商品試してみてくださいね。

参照

健康食品市場に関する調査を実施(2021年) | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
プレスリリース 健康食品市場に関する調査を実施(2021年)
https://www.jhnfa.org/tokuho2019.pdf https://www.h-food.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/83a877b7a69e5480a55a335e6ee45cc1.pdf

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