知財ってなに? -1ヶ月で知財検定3級に合格した極意を添えて-

専門的な内容

こんにちは、にしこです。

知財(知的財産)」という言葉を聞いたことがありますか?

一見聞き馴染みのない言葉に見えますが、「特許」や「著作権」というものがこの「知財」にあたります。

そしてこの知財、実は私たちの生活にとても大きな影響を与えています。

いつもあなたのそばにいます。

日本経済を支えています。

そんな知財の凄さと重要性、そしてその魅力についてお伝えしようと思います。

また、知財検定3級の合格通知を先日受け取ったので、そのときの自分の勉強法も最後に触れようと思います。

 
知財(知的財産)とは

日本弁理士会のホームページでは知財について以下のように記載されています。(https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/)

人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、 財産的な価値を持つものがあります。 そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあります。 それらの権利は「知的財産権」と呼ばれます。

つまり、例えばわたしがぐろばるオリジナルのキャラクターを考案したとしたら、そのキャラクターは知的財産(著作物)となり、知的財産権で保護されるものになります。

では、具体的に知的財産権とはどのようなものがあるのでしょうか。実はみなさんが聴き馴染みのある「特許」や「著作権」のほかにも知的財産には色々あります。

特許権

発明と呼ばれる比較的程度の高い新しい技術的アイデア(発明)を保護します。
例)ボーカロイド、フリクションボール

実用新案権

発明ほど高度な技術的アイデアではなく、言い換えれば小発明(ちょっとした発明)と呼ばれる考案を保護します。
例)押し潰せるティッシュ箱、フローリングワイパー

意匠権

物や建築物、画像のデザイン(意匠)を保護します。
例)ユニチャーム超立体マスク、airpods

商標権

自分が取り扱う商品やサービスと、他人が取り扱う商品やサービスとを区別するための文字やマーク等を保護します。
例)「熱冷まシート」「ドラえもん」

育成者権

植物の新品種を保護します。
例)シャインマスカット(皮ごと食べられるマスカット)、
コシヒカリ新潟BL(おいしさを保ったまま、病気に強い稲)

著作権

文芸、学術、美術、音楽の範囲において、作者の思想や感情が創作的に表現された著作物を保護します。
例)創作的に表現された著作物全般

(日本弁理士会:https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/)

以上は知的財産権として保護されているものの一部で、実は他にも「地理的表示法」「回路配置利用権」等想像しにくい知財も色々あります。

でも上記で挙げただけでも、知財がとても身近にあることがわかるはずです。
特に商標権は一番身近に感じやすいものだとおもいます。

例えば、「google」「vaio」など会社や商品のロゴのほとんどは商標として登録され保護されています。

そして、最近は「ペコちゃん人形」や「コカコーラの瓶」などの立体商標があったり、

色彩商標(色のみの商標)としてセブンイレブンロゴの配色(白、橙、緑など)や

ンボ鉛筆の消しゴムロゴの配色(青、白、黒)が保護されています。

また、視覚だけでなく、「♪キレイ、キレイ」「♪あじのもと」など
皆さんが一度は聞いたことのある音楽も音のみの商標として登録されています。
(Jplatpat:https://www.j-platpat.inpit.go.jp)

直近のものだと、「鬼滅の刃」の商標登録はニュースにも取り上げられていましたね。
主要キャラクターが着用している羽織の柄が商標として登録された一方で
主人公の炭治郎が着用していた羽織は登録が認められなかったというニュースを見た人も多いと思います。
(市松模様」の一種として捉えられることから自他商品の識別力を有する部分を見出すこともできないという拒絶理由でした)
(伊藤・藤田特許事務所:http://www.if2-patent.com/16255447884110)

こんな風に意外と身近なものを保護したりしなかったりしているんです。
知財が日本の経済を支えているのがなんとなく分かってきましたか?

 

知財の役割

以上のように知財は色々な種類に分類され保護されているのですが、
どうしてこんなに保護する必要があるのでしょうか。

著作権でパクったパクられたという話がよくメディアで取り上げられていますが、
知的財産権を侵害されると実際にはどのような問題が生じるのでしょうか。

日本の経済をどのように支えているのでしょうか。
特許権を例に考えてみましょう。

0からものを生み出す発明には時間とコストがかかります。
せっかく汗水垂らしながら生み出したものを簡単にパクられて売られて
自分の発明に見合うコストを回収できないとなればたまったもんじゃないですよね。

しかし、自分の発明を他人に盗まれないように、秘密にすると、発明者自身もそれを有効に利用することができないばかりでなく、
他の人が同じものを発明しようとして無駄な研究、投資をすることとなってしまいます。

そこで、発明者には一定期間、一定の条件のもとに特許権という独占的な権利を与えて発明の保護を図る一方、
その発明を公開して他の人の利用を図ることによって、新しい技術を人類共通の財産としていくことを定めることにしています。
そうすることで、技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与しようというものが特許制度になります。
(特許庁:https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/seidogaiyo/chizai04.html)

他の知的財産権も同じような役割を担っており、
特許法、実用新案法、商標法、意匠法等はそれぞれ産業の発達に寄与するため、
著作権法は文化の発展に寄与することを目的に定められています。

これらの権利を侵害するとどのようなことが起きるのでしょうか。
一番わかりやすいのが著作権だと思います。

「あの人の曲、この曲のこのパートにそっくりじゃない?」
「あの看板のキャラクター、あの漫画のやつまんまやん」

こんな会話したことありませんか?

最近だと任天堂が株式会社マリカーに対して訴訟を起こした事例はメディアで大きく取り上げられていましたね。

任天堂は、同社が製造販売するレースゲームシリーズ「マリオカート」の略称である「マリカー」という標章を会社名として用いていること、
さらに、「マリオ」などのキャラクターのコスチュームを貸与し、
そのコスチュームが写った画像や映像を許諾なしに宣伝・営業に利用するなどしていることに対して、不正競争行為および著作権侵害行為の差止と、損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提起しました。
(BUISINESS LAWYERS:http://www.businesslawyers.jp/articles/166)

このように他人のキャラクター等を利用して金儲けをすると訴えられます笑

商標でも同じようなことで揉めていたケースがあります。


皆さんポッキー(グリコ)は食べたことありますよね。
韓国ではポッキーと類似したペペロというお菓子がメジャーで、11月11日はペペロの日として親しまれています。

しかし、このようなお菓子の発売はグリコのポッキーの方が先(1966年)だったようです。
(ペペロは1983年)
このデザイン酷似問題についてアメリカで6年間商標紛争が続いていたらしいのですが、
なんと韓国のロッテが勝訴するという結果になりました。

 

理由は食品のデザインにありました。

アメリカの裁判所は「useful(有用)」なデザインは商標権の保護を受けることができないとして
グリコの主張を認めないという判決を下したそうです。
(Wow Korea:http://www.wowkorea.jp/news/Korea/2021/1111/10322626.html)

 

ポッキーの件については、商標権や特許権を取得していたとしても主張が認められなかったというレアなケースだと思いますが、
このように権利が守られないと、発明したものに関わる利益を取り逃がすことになってしまいます。

韓国でもかなり人気な国民的商品みたいなので、
グリコが独占して販売できていたら今よりもかなりの利益を得られていたはずです。

 

知財検定3級合格に向けて…

このように知財の役割や出願方法についての知識を問われるのが知的財産管理技能検定(知財検定)です。

正しい引用の仕方など実用的な知識も多く知ることができるので、テキストを読むだけでも十分役に立つ検定だと思います。

私は今回、基本的な知識が問われる知財検定3級を受検しました。
3級は筆記実技があります。(どちらも記述でほぼ選択問題)

筆記では知識をそのまま問われますが、
実技では、実際このような場合は侵害になりますか?というような
より実践ベースの問題が出題されます。

私は学科86%、実技83%で合格しました。

(3級はどちらも70%以上で合格です)

 

勉強期間

3月上旬にある知財検定を受検したのですが、2月にTOEICを受けた関係で
集中して勉強したのは1ヶ月ほどでした。

 

利用した参考書、資料

参考書

受検するにあたり、推奨されている参考書はいくつかありますが、
私は赤シートを使って勉強するのが好きなので
以下のテキストと問題集を利用して勉強を進めました。

ただ、知財検定が公式で出しているテキストで勉強するのが王道だと思います。

(この記事を書いていて初めて気づいたのですが、問題集は学科と実技で分かれていたんですね…
私は学科の問題集だけで勉強していました。どおりで実技の問題が苦手だったわけです…)

テキスト

 

問題集(学科)

 

問題集(実技)

 

過去問

知財検定公式が過去3回分の過去問とその答えをホームページにアップしてくれています。
http://www.kentei-info-ip-edu.org/exam_kakomon.html

 

YouTube

テキストを読んでも理解できないところは動画に頼りました。

このお方が知財検定の答えについて解説してくださっているので、このチャンネルを見ながら
自分の中の知識の精査を行なっていきました。
(残念ながらおそらく今はもう更新されていない…)

村井PのYouTube大学
https://www.youtube.com/user/gosakuraTIP

 

わたしの勉強方法

2ヶ月前

知財検定3級は特に特許法と著作権法に関わる問題数が多いです。

この二つについては、TOEICを勉強する片手間、
通勤中の電車の中でテキストを読んで、知識だけは入れておくようにしました。

 

1ヶ月前

実用新案や商標など他の分野についても通勤中に一通り知識を入れた後に一度過去問を解いてみました。

その時点で6割程度解けたので、少し手応えを感じ始めてきました。
そこからは、基本的に朝は知識インプット、帰宅後に過去問でアウトプットをして
正解がわからない部分はググって答えを見つけていくという営みを続けていきました。

知識を精査していくなかで工夫したことが2つあります。

まず、出願方法や期限等が特許や商標で異なるので、
ノート見開きを丸々使って一目で比較できる年表を作成しました。
(どのサイト、資料を探してもなかったので自分で作ることにしました。)

どの知財権の申請もやるべきことは似ているのに必要書類や期限が微妙に違うので
それぞれの違いをしっかり理解しておかないと死亡します笑

そして、自分がもし出願するならいつに何をして…と弁理士になりきりながら覚えていきました笑

次に、出来るだけ具体例を見つけてイメージしやすくするよう心がけました。

上で散々書いた通り、知財権に関わる具体的な事例はいくらでもあります。

侵害や国際条約に関わる問題も多く出題されるのですが、

日本語が難しくてテキストや知的財産基本法を読んでもよくわからないものが多いんです。

なので、出来るだけ具体例と結びつけて覚えるようにしていました。

あとはひたすら解いて覚えるのみ!
(過去問は全問正解できるまでひたすら解きました)

最後に

意識すると意外と普段のニュースでも知財に関することって取り上げられてるんです。

なぜこれが商標登録できなかったのか、海外で日本の特産品を栽培することの何が悪いのか、
背景を知ると知財の奥の深さに沼っていきます笑

ということで、この記事が知財について興味を持つきっかけになればとても嬉しいです。

そして少しでもこれから知財検定に挑む人の役に立てたら幸いです。

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