BTSスピーチ三部作最終章として、今年2021年9月20日に行われた国連総会でのスピーチをご紹介します。
こちらはニュースによく上がっていたのでご存知の方も多いかもしれません。
前年の内容
前回ご紹介した通り、2020年のスピーチでは、新型コロナウイルス危機の影響で
これまでの生活が一変し将来への不安を抱えて日々を過ごす世界中の若者たちに向けて、希望と連帯のメッセージを伝えました。
「不確定な世界だからこそ、自分を大切にし勇気づけ、幸せできることが一番だ。
これから見える明るい未来に向けて自分を信じよう。」
出口が見えない状況の中で、
「Life Goes On(どんなことがあっても人生は続く)」
を訴えました。
今年の内容
「ロストジェネレーションではなく、ウェルカムジェネレーション」
メンバーたちは、新型コロナウイルスの影響でコンサートツアーが中止になるなど、葛藤した日々があったことを明かしました。
その上で、「これまで当たり前だと感じていた瞬間の大切さに気づく時間でもありました」と述べ、
この時代を前向きに生きている若者たちを代弁しました。
リーダーのRMは「10代、20代の未来世代のことを伝えたい。」と述べた上で、
「『生き続けよう』『この瞬間にベストを尽くそう』と叫ぶ人々」について紹介しました。
以下、スピーチを一部抜粋して紹介します。
RM
BTSの2021年国連スピーチ全文「未来が恐ろしい暗闇だと思わないで」(https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_61496262e4b0175a18357aeb)
「今の10代、20代の人たちが『コロナロストジェネレーション』と呼ばれていると聞いたことがあります。
新たな挑戦をするべき最も多様な機会が必要な時期に道に迷ったのだ、と。
しかし、大人たちの目に見えないからと言って、道に迷ったとは言い難いと思います」
JIMIN
「この写真を見てください。オンラインを活用して新しい方法で友情を育み、
新しいことを学び、より健康に生きようとする努力をする人たちがたくさんいます。
道に迷っているようには見えません。勇気を出して、新たな挑戦に踏み出しているように見えます」
JIN
「『ロストジェネレーション』ではなく、『ウェルカムジェネレーション』という名前の方が、ふさわしいと思います。
なぜなら、この世代は変化を恐れるのではなく、『ようこそ』と言いながら前に進んでいっているからです」
去年からの変化
前年も今年も一貫して「BTSだからこそ与えられる影響」をポジティブに利用してメッセージを発信しているのが
個人的にはとても印象的でした。
世界中が彼らに夢中になっている理由の一つに、
同世代の等身大の姿を見せていることが挙げられます。
今や世界的スターとなったBTSでも、コロナ禍で努力していたことが報われなくなった悔しさや、
誰のせいにもできない虚無感を私たちと同じように(もしくはそれ以上に)感じている。
だからこそ、この2年間のコロナ禍でのスピーチでは「今感じている不安や虚無感」について素直に伝え、
共感した上で、「今できること」をポジティブに発信しています。
しかし、前回のスピーチの時点ではワクチンすら普及していない状況で、
世界がより良くなるのか悪くなるのか全く出口が見えない状態でした。
だから、私たちと同様に感じている不安を持っている一方で
「ポジティブに考えなきゃ」という心の中の葛藤があったように感じます。
どちらかというと「辛い」「怖い」「不安」という想いに共感し、
「大丈夫。いつか終わるから耐えよう」というような、
自分にも周りにも大丈夫と言い聞かせているような印象がありました。
一方で今年はワクチンが世界的に普及し、スピーチのために渡米できた事、オフラインライブが決定した事もあり、
「変化を受け入れて進もう」という、より前向きなメッセージが強いような気がしました。
だからこそ、彼ら自身が「ウェルカムジェネレーション」の一人となり、10代20代の代弁者として
ポジティブなメッセージを発信してくれていた気がします。
Permission To Dance
スピーチの最後に、「ウェルカム!」の挨拶として国連本部で撮影したPermission To Danceの映像を披露しました。
エドシーランがプロデュースした事で発表前から話題となっていましたが
MV公開後は国際手話を取り入れたダンスにも注目が集まりました。
マスクを外して踊る姿は
「どんな人も(たとえ聴覚障害を持っていても)音楽を楽しめる」事とともに
「どんな障害だって乗り越えられる」というコロナに影響を受けたすべての人へのメッセージが込められている気がします。
このスピーチの時(2021年9月)とはまた一転し、さらにどうなるかわからない状況が続いていますが、
どんな変化も受け入れながら前向きに進めるように生きていきたいですね。
UNスピーチ三部作
ここまで3回にわたり、BTSがUNを通じて発信してきたメッセージについてご紹介しました。
BTSは我々と変わらない等身大の20代として
自分たちが感じてきた世間に対する疑問や自分に対する不安、劣等感など
ごく普通の私たちが感じている、でもいつの間にか蓋をしてしまっている感情を常に代弁してくれている気がします。
だからこそ世界中の若者から支持を集めているのではないでしょうか。
どんなにしんどくても人生は続く
だからこそ自分自身を愛し
変化を受け入れて前に進み続けよう
そんなメッセージが彼らのスピーチ、歌から感じられます。
私はコロナによって期待していた未来が突然消え、悔しさをどこにもぶつけられない時に
LOVE MYSELFに出会いました。
自分自身を見つめ直し、愛することで心に少し余裕ができ、
自分にも他人にもより愛をもって受け入れることができるようになってきました。
そして誰のせいにもできないこの状況の中でも前向きに考えられることが増えた気がします。
このブログが、自分自身と向き合い、受け入れるきっかけになれば幸いです。
それが最終的にはSDGsに繋がると信じています。
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