新卒2年間の振り返り:魚屋さんで得られたこと

人生語り

こんにちわ、じゅんです。
まさみに続いて、2023年5月末で2年間働いた会社を辞めて、転職しました。
記事にもしていましたが、たくさん挑戦し、そして常に悩みながら過ごした2年間だったと思います。

そんな2年間だったからこそ、学びが多く自身の仕事への姿勢や課題意識への確立に繋がったと考えています。自分の気持ちの整理も込めて、前職での学びを記事にまとめました。

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前職での学び

言い出したらキリがないのですが、前職での学びを下記3点にまとめました。業務的な学びと言うよりは、業務を通じて自分の考えに大きく影響を与えた経験を学びとしています。特に2つ目と3つ目は今後の自身の仕事の姿勢の軸になると思います。

  1. 営業における狡猾さ
  2. ポジションの確立の方法について
  3. 水産業に対する課題意識

では、1つずつ見ていきましょう。

学び①:営業における両面性

前回の記事でも目標として掲げたのですが、後半(2年目)は営業に力を入れました。営業活動を通じて思ったのが、

「販売先に良い価値を届けようと思いつつも、しっかり利益を獲るという両面性があること」

です。そしてこの利益確保に面白みを感じたのが、自分にとっても意外でした。

水産業の場合、差別化が難しいため価格勝負となりがちです。したがって、コストを回収できる範囲で、できるだけ安い価格を提案する必要があります。

私の会社は原料の仕入れから加工、物流の手配を行うため、販売先よりも、コストに関する情報を多く有しています。情報量を武器に販売先には良い顔をしつつ、裏では利益確保のための工夫を必死に考えていました。安い物流や資材を探したり、グループ会社に委託したりなどなど。

これらの経験を通じて、

・苦手だった営業の側面:「お客様を神様として接しなければいけないこと」

・面白みある営業の側面:「自社の利益を確保するための工夫を施すこと」

ということに気づきました。
この気づきは実際にやってみないと得られないものです。
まさみの言う通り、やってみないと分からないことって意外と多いと身をもって体験しました。

実績としては合計3件の中長期案件を成立できました。また、収支計算ができるようになったため、上司からも収支計算や価格設定を依頼されるようになりました。営業の中でも、接待といった前線部隊というよりは、裏方での戦略部隊にポジション取りできたのは、学び②に挙げるポジションの確立方法につながったと思います。

学び②:ポジションの確立方法について

成立した案件のうち1つは、海外輸出案件でした。この案件は商品の販売に加えて、国の補助事業を活用して、現地での試食会もセットで提案するという内容でした。私はこの補助事業を担当し、営業部や海外事業部とチームを組み、案件を進めました。自分に”明確なポジション”を持って事業を行うことに非常にやりがいを感じました。

入社して半年の頃は自分のポジションを確立できず悩んでいました。今考えると、少し焦りすぎていたのかなと思います。今回の海外輸出案件でポジションを確立できたのは、新加工場での補助事業で実績を作ったからです。また、上記記載の通り、営業での裏方に回れたのは、自分の営業で実績を作ったからだと思います。

この経験を通じて、「ポジションや専門性があって業務がある」のではなく、

「機会的に得た業務で実績を作ることで自身のポジションが確立されていく」

という考えにシフトしました。だから、依頼された業務を食わず嫌いせずに、「まずは何でもやる」という考えを大事にしたいと思います。

※↓入社して半年の頃に書いた記事。自身のポジションについて記載しています。

入社して半年。これからどう生きていこうか
こんにちは、じゅんです。今回の記事では今までの仕事の振り返りです。水産業に就職した今の仕事内容や心理的変化、今後について率直な気持ちをまとめてみました。

学び③: 水産業に対する課題意識

この2年間は水産業にミクロな視点で、かつ当事者として関わってきました。この経験を通じて、自分の中で水産業の持続可能性に対する課題意識が生まれた気がします。少し長くなりますが、自分への整理も兼ねてまとめてみたいと思います。

水産業の持続可能性とは

水産業の持続可能性を考える上でいろんな角度があると思います。水産資源という生産的観点、水質汚染といった環境的観点、そして生産者や制度といった経済的観点(まさにGFR笑)。私は前職で働きながら、3つ目の観点である「経済的観点」から水産業の持続可能性を考えていました。

経済的な持続可能性とは単純に「売上 ー 費用 > 0」であると考えられます。
売上に着眼すると、輸出が期待できます。世界的な需要拡大や行政側のバックアップもあり、養殖業界で見ると今後も伸びていくと考えられます。一方、費用で言うと、世界的インフレによる飼料代の高騰や労働力不足が懸念されており、今後も費用の増大が懸念されています。したがって「費用」に着目して持続可能性を検討していく必要がありそうです。

持続可能性とDX化

費用の低減には業務の効率化、いわゆるDX化が手段として期待されています。3Kに代表される水産業では、DX化の必要性が強く謳われており、ベンチャー企業や大手IT企業が様々な技術開発を行っています。
ここからは完全な私見になるのですが、

「様々なDX技術が開発されてはいるものの、あまり水産業のDX化は進んでいない」

と私は考えています。確かに水産業の業務を効率化する技術は確立されていますが、水産業の課題ばかりに視点が向いており、その技術を導入する生産者側の経営的視点が少し欠けていると思っています。経営的視点について、説明していきます。

日本の水産業の大きな経営的特徴は、経営体が非常に零細であることが挙げられます。結果として、海外の大規模経営に比べると労働集約的な経営になるなため、技術・機械を導入するよりもマンパワーで生産する方が経済的という意思決定になります。高次産業が発達した現代では、水産業は非常にアナログで非効率的に見えます。だから一見、DX化という技術導入は必然に思われますが、経営的に考えた時に、DX化によるマンパワーの代替効果は案外小さいのではないか、だから生産者としてはDXをすすめたいと思えないのでは?と考えています(技術に比べて人件費が相対的に安いから)。また技術導入コストを商品代に転嫁することが難しいことも、DX化が進みにくい要因といえます。

まとめると

 「技術的には課題解決したとしても、経営的にそんなにメリットないんじゃない? だから水産業のDX化は進まないんじゃない?」

というのが私のDXに対する考え方です。
(DXを否定したいのではなく、課題解決と経営的判断は別であり、水産業がDX化しないことにはきちんと合理的理由があることを言いたいです。)

私の中での課題意識

ただ一方、水産業はどんどん労働人口が減っています。したがってこのまま何もせずにいても衰退してしまうのは目に見えています。

そこで私が面白いなと思った考え方が「非競争領域の協業化」という考えです。同業他社の中で商品開発や価格設定など競争すべき領域は競いつつ、出荷作業や物流など競争しない領域は協力してやっていきましょうっていう企業横断的業務効率化の考え方です。

私はこの「非競争領域の協業化」は、水産業に非常にマッチした考え方だと思っています。
水産業(特に私が携わった養殖業)の現状を紹介すると

横の協業化:漁協という生産者同士の繋がり

横のつながりで言うと、生産者同士の協業化があげられます。漁協が組織化されている地域では、餌やりなど魚の品質に関わる業務は自社で行いつつ、魚の出荷作業といった非競争領域は漁協組合員で協力して行う文化が見られます。零細経営であるからこそ生まれた「非競争領域の協業化」の良い一例だと言えます。

縦の協業化:地元企業間の繋がり

これは水産業、特に私が携わる養殖業界で強く感じているのですが、地元企業間の繋がりが非常に強いと思います。例えば、養殖魚の販売で実際の商流が「生産者→加工卸売会社」だとしても、出荷作業には、飼料会社や資材屋、トラックのドライバーなど養殖魚の生産・販売に関わる複数の利害関係者が、自社の業務範囲を超えて支え合って業務を行っています。
※IT会社の方が、この業界の販管費ってどうなっているですか?と驚かれていたので、水産業特有のつながりなのかなと思っています。

協業化の輪を広げることが持続可能性のキー?

上述の通り水産業は「非競争領域の協業化」の下地が十分にあると考えています。
この水産業界特有のソフト面のつながりをもっと横断的(例えば、加工卸売業者間での協業など)そして水産業全体にスケールしていくことで、企業の規模は小さくても業務の規模を拡大できるためDX化などの技術導入が進みやすくなる、ひいては水産業の持続可能性って達成できるんじゃないの?と考えています。

個社間の業務改革ではなく、企業横断的な協業化による業務の大規模化とその業務改革が今の水産業に求められていると考え、私が携わりたい課題になります。そして、このソフト的なアプローチへの意欲が転職のきっかけとなりました。

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まとめ

この2年間を通じて、仕事に対する姿勢と水産業への課題意識を身につけ、深めることができたと思います。2年前は前職への就職がとても不安で不安で仕方なかったです。ただ、尊敬できる上司や人間味ある人たちにたくさん出会い、自分の選択を正しい選択にできたことは、自身のキャリア形成の大きな自信へと繋がりました。

ちょっと転職先のことを話すと、国際協力への挑戦となります。自己紹介にある通り、元々目指していた業界です。前職で得られたことを存分に活かしたいと思います。詳細は次回に。ではでは。

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